好き好き大好き超愛してる。

「愛は祈りだ。僕は祈る。」
書き出しからガツンと来て、
文章の疾走感に乗ってほぼ一気に読んだ。


恋愛、生と死、小説、メタ化。
主人公の思考の流れや感情の分析が
そのまま文章になっているから、
読み手はそれを辿って読めばよいだけ。
たたみかけるようなラストが圧巻。


ちょっと不思議な作品で、SFっぽいパートにさえ
リアルな感覚があふれている。


祖母の部屋の物たちが主を失って遺品になっていくさま。
どんなによぼよぼになっても老犬に一分一秒だって
長く生きてそばにいてほしいと思ったこと。
ぬくもりが感じられなくなるまでずっと
寄り添っていたこと。
大切な存在がこの世から消えつつあるときに自分が
感じていた感覚や感情を呼び起こされた。




恋人を亡くした人はずっと一人で生きていくべきか。
以前、恋人を亡くした友達は、
その後出会った人と結婚して、
家を建て、子どもを産み、育てている。
彼女が結婚した時には、本当によかった、
幸せになってほしい と 心から思った。
私はきっと愛している限り 愛し続けるだろうけど。
どちらかだけが正解なんていうことはなくて、
どちらだっていいのだ。



好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)