フジフジ富士Q@富士急ハイランド コニファーフォレスト

まるで映画の中にいるみたいだった。
大切な存在を失った人たちが
想いを分かち合いながら
音楽を通して再生を図る。
そういう物語の。


あまりにも特別で、濃厚で、
一瞬一瞬が奇跡のようだった。
4時間があっという間。
ここまで終わってほしくないと
思ったライブは初めてだった。


出演者も、スタッフも、観客も
みな愛をもってフジファブリック
へんてこりんな曲たちを 歌ったり
演奏したり 聴いたりしているのが
伝わってきた。


ステージに志村さんの姿はないのに、
なぜだかその存在を強く感じた。
志村さんの途切れた夢の続きを
あの場にいた人たちみんなで
とり戻しているみたいだった。


志村さんの音楽を奏で続けることを決めた
バンドのメンバーが背負い込んだものの重さ。
当日を迎えるまでの道のりの険しさ。
メンバーがお互いに支え合って進んできたこと。
あのメンバーでフジファブリックの曲を演奏すれば
フジファブリックの音楽になること。
あの場に集った全員の想いが一つであること。
ひしひしと感じた。


ギターの山内さんが歌った新曲「会いに」。
さわやかでまっすぐな歌声。
志村さんの声とはまるでちがうのに、
なのになんだか一緒に歌っているような気がした。




梅雨明け。彩雲。美しい夕空に月。
ステージからくっきり見える富士山。
ヒグラシの鳴き声。
自然の演出も美しすぎた。


そんな素晴らしいライブを7列目で
目の当たりにすることができてしあわせだ。

とても楽しくて、せつなくて、あたたかくて、
胸を打たれっぱなしだった。
こんなにも心を動かされるイベントはそうそうない。
梅雨明けしたばかりだったというのに、
なんだか夏がもう終わってしまったような気持ちにさえなった。
忘れることはできないな。