ビロードのうさぎ

本屋さんでたまたまうさぎの絵の表紙が
目にとまって手にとってみた絵本。
読んで じんわり涙がにじんできて
そのまま買って帰った。


ぼうやに愛されたおもちゃのうさぎが
最後に「ほんもの」になる、というお話。
せつなくて やさしくて とてもいとおしい。


ビロードのうさぎ

ビロードのうさぎ


ノスタルジックな絵も素敵。
うさぎの表情や子どもらしいしぐさ。
うさぎがぼうやを、ぼうやがうさぎを
大切にしていることが伝わってくる。



私はぬいぐるみを捨てられないのだけど、
その理由を思い出した。


姉が小学1年生のときの担任の先生のことばだ。
その先生は、毎日生徒の日記にコメントを書く
まめでとてもいい先生で。


「今日は雨がふったので、家の中で妹といっしょに
 犬とぬいぐるみたちとあそびました。たのしかったです。」


といったことを姉が書いたある日の日記に
先生はこうコメントした。


「ぬいぐるみもどうぶつとおなじです。
 ずっとかわいがってあげましょうね。」


そのことばは姉に日記を見せてもらった私の
心の中にもすっと入って、今でも残っている。


きっと。
先生は、単に「物を大切に」ということを
いいたかったのではなくて、
大切に思う心を大切にしてほしいと
願ってのことばだったのだろう。
だからこそ その先生と直接関わったことのない
私の心にまで響いたのだと思う。