一週間

あれから一週間が経って、庭は梅の実が終わって
くちなしの花がきれいに咲いている。


おはよう。おやすみ。行ってくるね。ただいま。
そんな8年間の習慣はなかなかぬけなくて
いるべきところについ姿を探してしまったり。
夜がびっくりするほど静かになったのを感じたり。
その度に、あぁ あの子はもういないのだっけ、
と我に帰って、あの子のぬくもりや柔らかな
毛の手ざわりや鼓動が恋しくなったりする。


でも。
予定が集中していた週で、家にいる時間が短くて、
毎日人と会っていたから、寂しさで
胸を締め付けられるようなことはなかった。
毎日何かしら涙は出るけれど、
そのほとんどはあたたかな涙。


新しいカメラで撮った写真を家でプリントして
アルバムにして、家族や友達に見てもらいながら
あの子を偲んでいる。
たかがうさぎくらいで、などと思う人は誰もいなくて、
家族の死と同じ重みで受け止めてくれる人達に
囲まれていることをとてもありがたく思う。
お悔やみのメールやお花もたくさんもらった。


逝くタイミングだけじゃなくて。
この週に予定がやたらと集中したことも、
友達に会う機会が続いたことも、
あのタイミングでカメラを買ったことも、
いいプリンターに買い換えたことも、
毎日撮っていたわけじゃないのに
なんとなく撮る気になって最期の3時間前に
写真を撮ったことも。


ひとつひとつの偶然がつながって
私を優しく包んでくれているよう。
守られている気がする。
まるで私が寂しさを感じすぎることのないように、
誰かが筋書きを書いていたみたい。
だから、私はあたたかな気持ちでいられるし、
あの子の話をした人達をもあたたかな気持ちに
ならせてくれる。


あんな小さなうさぎなのに、本当にすばらしい相棒だ。