街のあかり

アキ・カウリスマキ監督の敗者三部作の最終編。
今までよりも都会的で、垢抜けた感じ。
80分に満たない短さのうえにテンポもよくて
ラストまであっという間。


だまされ、利用され、さんざんな目に遭わされても
いったん好きになった人をなおかばってしまう。
孤独で、犬みたいに忠実でばかでみじめな男。
そんな人にも見守ってくれる存在が、ちゃんといる。
たとえ気づいていなくとも。
そっとともる夕闇のなかのあかりみたいに。


これも、くすりとしたり、じーんとしたり、いい映画。
なのだけど、前の二作ほどは響かない。
たぶん役者の存在感というか、演技力というか。
主人公の見た目が悪くないせいか、
とことん冴えない男という感じがしなくて。
孤独の冷たさは感じるのだけど、
冴えない感と哀愁がちょっと足りない。
その分、じんわり感じる温もりの厚みも
薄くなってしまうような。


ワンシーンしか登場しないカティ・オウティネンの
存在感はすごかった。さすが。


アキ・カウリスマキは、浮き雲がいちばん好き。