ぶらんこ乗り (新潮文庫)

今月に入ってから、昔の自分について考えるきっかけが続いている。
この本もそう。孤独感と救い。
過去を紐解く作業は濾過に似ていて、くりかえすたびに
自分の濃度が増していくような気がする。


ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)


読み終わったのは2、3日前。
胸の奥深くを掘り返されたような感覚がしたのに、
言葉にできずにもやもやしていた。
ふと明日会う友達とのことを思い返しているうちに、ストンときた。
私が初めて心を開いた相手。


その友達は、たいていの人がある程度長く生きてから
考えるようなことに、ずいぶん早くに気づいた人。
私もそうだった。
同年代の子たちとは楽しく遊べても、感じたこと、
考えたことを話すと理解してもらえなかった。
輪の中にいてもいつも孤独で、どんどん心を閉ざしていった。
その友達と心が通じたとき、それまで自分がずっと
さみしかったんだということに気がついたのだけど、
自分で自分をもっと孤独に追い込んでしまっていた面もあった。


ふいに、その友達に出会う前に仲良くしていた子に謝りたい気持ちになった。
理解してはもらえなくても、きっと話せば理解しようとしてくれた。
それに、仲のいい人が心を開いてくれないさみしさを
その子に感じさせてしまっていただろう。