アンニュイ

一瞬、それが自分に向けられた言葉だと気づかなかった。
過去の自分に対してではあるのだけど。


そうだった。
そんな印象を人に与えていた時代が私にはあったのだったっけ。
10代の半ばは、アンニュイで、大人で、クールで、神秘的、
と言われることが多かった。
アンニュイ以外のことは今でも言われることがあるけれど、
それだけはすっかり言われなくなっていた。


その頃は世を儚んでいた。
人にほとんど心を開いていなかった。
たぶん、傷つくことがとてもこわかったから。
重苦しい鎧を自らまとっていたような気がする。


今はもうこわくなくなった、というわけではない。
けれど、人との関係を通していろいろなことに
気づかせてもらったり、教えてもらったりして
昔ほどこわくはなくなった。


その頃の私しか知らない人に今会ったら、きっと。
ずいぶん雰囲気変わったね、って驚かれるんだろう。