わたしが棄てた女 (講談社文庫)
友達に貸してもらって読んだ。
take&takeの吉岡、give&giveのミツ。
多くの人の 人との関わり方は
この二人ほど極端ではなく、
take&giveかgive&takeだったりするのだろう。
二人のどちらよりの視点で読むかで
自分がどちらに近いか判るのではないかと思う。
私はミツの立場で読んだ。
ミツを愚かだと思うところも多々あったけれど、
愛するものに 自分のすべてで与えようと
してしまうところや、困っている人を見ると
放っておけなくなってしまうところが似ていた。
私も占い師にお人よしすぎると言われたことがあるし。
不誠実で冷酷、身勝手きわまりない吉岡の言動に
初めは腹が立っていたけど、読みすすめば読みすすむほど、
吉岡がかわいそうに思えていった。
自分が一番かわいくて 自分の利益ばかり考えるさもしい人は、
心の平安や充足感とは無縁なのだろうなと。
吉岡に棄てられて、傍目には不幸そのものに見えても。
ミツは自分の幸福をみつけることができたから、
多くの人たちの人生にいい痕跡を残せたから、
ミツはしあわせだったと思う。
人間は、他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない。
ならばどうせなら いい痕跡を残して生きていきたい。
- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1972/12/15
- メディア: 文庫
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