りかさん (新潮文庫)
人の勧めで読んでみた 初めての梨木香歩。
雛祭りのこの季節にぴったりの人形の物語。
おばあさんと孫娘、気立てのいい人形のりかさん。
三人の手によって解き明かされる それぞれの
人形の物語を通して、人間の醜さや悲しみ、
慈しむ心、因果、家族の系譜、日々の営みの尊さ……
大切なことを教わっていく。
小さなころから 人形は硬質でひんやりした感触が
少し苦手だった。
手触りのやさしいぬいぐるみは大好きで
ペット同様に家族の一員として接してきたけれど、
人形に対しては関心が向かなくて、
ほとんど構ってこなかった。
人形も、慈しまれるために存在するものなのに。
知らず知らず 家にある日本人形やビスクドールに
辛い思いをさせてしまったかもしれない。
ちょっと申し訳なく思った。
縁あってうちに来た人形たちのことも
これからは気にかけよう。
やわらかくて透明感があって温もりのある文章。
清々しくあたたかな気持ちになった。
それと、人形に対する苦手意識が
少し減った気がする。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06/28
- メディア: 文庫
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