りかさん (新潮文庫)

人の勧めで読んでみた 初めての梨木香歩
雛祭りのこの季節にぴったりの人形の物語。


おばあさんと孫娘、気立てのいい人形のりかさん。
三人の手によって解き明かされる それぞれの
人形の物語を通して、人間の醜さや悲しみ、
慈しむ心、因果、家族の系譜、日々の営みの尊さ……
大切なことを教わっていく。



小さなころから 人形は硬質でひんやりした感触が
少し苦手だった。
手触りのやさしいぬいぐるみは大好きで
ペット同様に家族の一員として接してきたけれど、
人形に対しては関心が向かなくて、
ほとんど構ってこなかった。


人形も、慈しまれるために存在するものなのに。
知らず知らず 家にある日本人形やビスクドール
辛い思いをさせてしまったかもしれない。
ちょっと申し訳なく思った。
縁あってうちに来た人形たちのことも
これからは気にかけよう。



やわらかくて透明感があって温もりのある文章。
清々しくあたたかな気持ちになった。
それと、人形に対する苦手意識が
少し減った気がする。


りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)