何を話そう

明日は結婚式。
もしこの人に出会っていない人生だったら、
と考えると ぞっとするほど 大切な友達の。




人にはわかってもらえないものだと思っていた私が、
生まれて初めて出会った 対等につき合える同世代の友達。


自分が自覚する自分らしさと、人から持たれるイメージとの
ギャップに悩んでいた10代半ば。
その複雑なところがあなたらしくて、おもしろくて
楽しくて、知れば知るほど好きになる、と
15歳の彼女は事も無げに言ってくれた。
あなたに似た人を私は誰も知らないし、
この先も出会えない、と。


彼女とはたわいないことから、深い話まで話題を選ばず
何でも遠慮なく話ができたし、映画や美術展に行き、
本やCDを貸し借りして、感覚や経験をたくさん共有した。


教室でみんなに誕生日を祝ってもらえない私の気持ちを知って、
真冬のバースデーピクニックを企画してくれたのも、彼女。
卒業式の日も、離れがたくて朝まで一緒に過ごした。



海を隔てたところに住むようになっても、
頻繁に連絡をとっていなくても、遠くに感じない。
意識していなくても、いつもどこかで
つながっているような そんな感じがある。


私の感情がいっぱいいっぱいになっている時に
頃合を見計らったかのように届く
左利きの角ばった文字や フランス語なまりの
鼻にかかった話し方の声に 何度涙したことか。



普通の一時帰国の時だって
再会の瞬間は目の奥が熱くなるのに、
明日会うとき彼女は花嫁姿。
そう思っただけでも涙腺がえらいことになってしまうのに、
みんなの前でちゃんと話せるんだろうか。
彼女とは心に残る出来事が多すぎて、何を話したらいいのか
まだ 決められずにいる。


なにより空と涙腺が、とても心配。