くまとやまねこ

くまとやまねこ

くまとやまねこ


酒井駒子さんの絵本。
文は湯本香樹実さん。
喪失と癒しの かなしく やさしいお話。
モノクロに、希望の光が射しこむような
ほんのりピンクのさし色だけ。
静かで美しい絵。


読みながら、ことりに今まで自分が失ってきた
たいせつなものたちを重ねて 目の奥が熱くなる。
それは 命であったり、想いであったり。



ことりを失って 心にぽっかり大きくあいた空洞。
明日の訪れを 世界との関わりを拒むかのように
内にこもる くま。
くまの背負うかなしみの大きさは、ことりが
どれほど大切な存在であったかの証明。


かなしみを忘れようとするのではなくて、
かなしみを避けずに向き合う。
いとおしさや感謝がこみ上げてくるまで。


深いかなしみに沈んだとき、
時間はやさしい味方。
季節はめぐる。
かなしみも いとしさも 抱いて
静かに歩き出せる日が、いつかきっと来る。




帯に 感動の絵本 なんて入っていなければ
もっといいのに。


ちょうど青山ブックセンター本店で
原画展が始まったので、観に行こう。