善き人のためのソナタ

冷戦下の東ドイツの息が詰まるような重苦しい空気。
きびしい監視、抑圧される芸術表現、
絶望の果ての自殺、やむにやまれぬ裏切り。
胸をおしつぶされそうな重たいストーリーが
淡々と進んでいくのに、飽きさせない。


はじめは無表情で冷徹無比な監視員が、
知らなかった世界に触れて徐々に
人間らしく変わっていく様子がいい。
直接関わることのない二人の、
友情とよんでもいいような不思議な関係。
その表し方もすてき。


"Nein. This is for me."
あっさりとしたラストの締め方が見事で、
ぐわっときて心救われたような気持ちになった。
とてもいい映画。