ノスタルジー
家のそばの道を歩いていたとき。
向こうからくる人を見て、一瞬、
祖母が歩いて来たかと思った。
生成りのクラシカルな日傘をさして
ワンピースを着た老婦人。
服装とシルエットが祖母に似ていた。
帰り道の祖母と、出かける私。
ときたまこんなふうにおなじ道で行き違った。
他界してもう7年も経つ。
昔の女性としてはすらっと長身で、
ショートカットの銀髪のお手入れに
毎月美容院に通うモダンでお洒落な人だった。
夏の暑い日もいとわずに
銀行や薬局や買い物に出かけて行った。
いつも背筋をしゃんと伸ばして。
困難な時代を生き抜いただけあって
気骨のある人だった。
祖母と私は、外見は似ていないけれど。
言い出したらきかないところや
人に甘えるのが苦手なところが
よく似てる、と家族にいわれる。
そうか、私の気性は祖母ゆずりだったのか。
どうりでハードボイルド型なわけね…。