谷根千散歩

mere2008-05-13

誕生日をむかえたばかりの友達のお祝いをしつつ
リクエストされた谷根千散歩におつきあい。
日暮里から根津、千駄木あたりをうろうろ。


まずは中東料理のランチ。
靴を脱いでお店に入り、布が敷きつめられた広い部屋の
一角に座ると、テーブル代わりの板の上にぞくぞくと
料理が運ばれてくる。
カレーもサラダも揚げ物もデザートも、全部数種類ずつ。
動けなくなるくらい食べても食べきれなかった。


そこは、店主がお客一人一人に似合いそうな民族衣装を
選んで持ってきて、着るように言われる店。
金銀の刺繍やビーズのついた華やかな衣装が多い。
テンションが高くて、男性に厳しく、女性に甘い人で
おもしろかった。
聞いてみるとイランのトルコ系少数民族だそう。
少数民族の中では最大勢力で、国の権力の大部分を
支配していると誇らしげに語っていた。


中近東に一人で行くと放っておかれることがないと
話に聞いていたけれど、この店もまさにその雰囲気。
一人で来ていたお客もさみしくなさそう。
日本人客同士でも自然とコミュニケーションが生まれる。
知らず知らずのうちに隣の席の人たちと仲良くなって、
初めての水タバコをちょっと体験させてもらった。
バラのフレーバーを注文していたようで、
息を吐くとかすかにバラの香りが広がって、不思議な感じ。
たばこなのに、いい匂い。
全然のども痛くならなかった。


おなかがはちきれそうになった後はお散歩。
ある建物の前でガラス戸越しにびいどろに入った金魚が
目に留まって眺めていたら、人が出てきて
中に招き入れてくれた。
アメリカ人の日本画家のアトリエだった。
作品もアトリエもご本人の出で立ちも
和と洋、伝統とモダンがいい具合に融合していて
すごくセンスがいい。
着物にパンツにハンチングなのに
すごくさまになっていた。
素敵な屏風絵や掛け軸がたくさんあって
ちょっとほしくなってしまった。


その後も、時間がとまっていると錯覚しそうな路地や
猫や個性的なギャラリーやお店に足を止めながら。
気がついたら5時間ちかく歩きつづけていた。


さすがに足が棒になって、インド料理屋でお茶。
豪華なソファに座って、銀製のティーセットで
気分もゆったり。


店内に入ってすぐ、香りを感じた。
なつかしさをおぼえる 深い香り。
お香を焚いているわけでもないのに何だろう。
広いお店のどこにいても感じる。
しばらく考えて思いついた答えを確認してみた。
やっぱり白檀だ。
白檀をつかった家具や美術品があちこちに
置かれてあった。
うちの白檀の屏風は時間を経て鼻を近づけないと
わからないくらい香りがとんでしまったから、
すっかり忘れていた。


異国情緒と下町情緒を満喫した一日。
なんだか、まるで泊りがけの旅をしたかのような
そんな濃さだった。